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宇都宮の夜(3)街のBARのサービス精神と一体感に心打たれる。

宇都宮 BAR FAKE

時刻は23時を少し過ぎたころ。3軒目は「BAR FAKE」です。カーブした外階段を昇って、右側の扉です。左側は居酒屋さんでした。カウンターのみ10席ほど。男性1人、女性2人連れがすでに落ち着いてました。

3軒目 BAR FAKE

「こんばんは」
「いらっしゃいませ」

入口に近いカウンターの隅にちまっと腰を下ろして店内を見渡すと、奥のほう(上座かな)に座っている男性客がテレビを見てます。そういや「JUICE」にもテレビあったっけ。

「何にしましょうか」
「マンハッタンください」

最初にその店を訪問した際、はじめの一杯はこれ。マスターからおしぼりを受け取りつつ、バックバーに目を凝らせば、ウイスキー瓶の前にズラリ並べられたミニカーが。男子っぽいなぁ。

BAR FAKE マンハッタン

飲み終わるころに客が引き始め。隣のとなりに座っていた女性二人は会計を終えて店を出たものの、すぐに戻ってきました。マスターに記念撮影しよっ♪だって。上機嫌でセルフィーしてる様子に、こちらもつられてクスッとしてしまう。

2杯目はロングロウをストレートで。この頃には客はぼく一人。「お見えになるの初めてですよね、普段はどちらで?」とマスターが話しかけてきました。

ロングロウ

けっこうアルコールが入っているので、自然と声が大きめ、テンション高めになってしまう。「東京から来たんですー。一発で気に入りましたよ、宇都宮。ステキなところですね」とニコニコのぼく。

「ジュースの佐藤さんの紹介で来ました」と言うと、マスターも安心したのか、名刺を差し出してくれました。初対面なのにこの気さくさ、たまらない。そういやJUICEの佐藤さんも自ら名刺を出してくれたなぁ。

ここ、「BAR FAKE」マスターの上杉晴教さんは、発足して18年目の宇都宮カクテル倶楽部の5代目代表幹事。もとからこの世界に?

「30歳で脱サラして、いきなり店を開いたんです。だから失礼な話、師匠という人はいないんですよね」

お客さんはやっぱり地元の常連が多いんですか? 宇都宮の人は乗ってる車も住んでる家もデカくて羽振りが良さげだから、飲みっぷりも凄そう。

「んー、そういう方たちは銀座に出ちゃうんです。むしろ東京の人に来てもらうにはどうしたらいいか考えてるんですよ」

いいですねぇ。タモリさんも飲茶楽しむためだけに香港に行ってるし。宇都宮が遠いなんて思っている東京住みにアピールする作戦、奏功するんじゃないかな。

おそらく宇都宮には、常連にだけ揉み手し、一見を見下すようなバーテンダーは稀だろう。排他性やムラ社会といったものが端から存在しない。

同業者にあっては競合でなく協調する。競争しつつ協働する。だからそのためにアイデアを出し合ったり、イベントでタッグを組んだりすることに躊躇がない。よそをよそと思わないマインドだから、喜んで他店を紹介する。この一体感。しかも官民一体ときた。ちょっと出来過ぎじゃないかな。

上杉さんの東京時代の話など聞きながら、ゆるゆるしてたらもう1時。

「あらら宿に戻らなきゃ、お勘定を」
「その前に。せっかくだから飲んでってください」

宇都宮モルト レダイグ

ぼくは目の前に置かれたボトルをよほど物欲しそうに見てたんでしょうね。上杉さん、この宇都宮モルトを味見させてくれました。宇都宮の有志のバーが協賛し、スコットランドに別注したボトルだそうです。シリーズとなっているんですね、力の入れ方が分かります。ぼくがもらったのはレダイグ。2005年蒸留、2013年ボトリングのカスクストレングスでした。味?美味かったですよ、そりゃもう。

10月15日にはまた宇都宮カクテル倶楽部のイベントがあるので良かったら来てください。もう1軒、お時間が許すならマロンというバーが近くにありましてね……。

はーいありがとう。上杉さんの渋い声が、遠くから響くオーディオのように聞こえます。だいぶ酔ったみたい。ゆらゆらと宿に帰ったのでした。ごちそうさま。

宇都宮のバー3軒探検のまとめ

・安い。
これで3,000円キッカリ。「JUICE」では2,000円ちょっと。良心的というより、お得に飲み過ぎて申し訳ない感じがします。

・お通しもしっかりしてる。
飲み歩いているうち、おなかもいっぱいになるんではないかというボリューム。といえば大げさだが、手抜きがない印象。

こちらはBar CALMのお通し。

Bar Calmのお通し

JUICEはポテトサラダ。写真撮り忘れました。パンケーキのように高く盛り付けてあり、結局一口も手をつけられず。食べたばかりだったからなぁ。

BAR FAKEはラタトゥイユかな。

BAR FAKEのお通し

・もてなしが素晴らしい。
ぼくが訪ねた3軒ともそう。カンで入った店が当たりました。

「BARに何を求めるかで行く店は変わってきますよね。店のお酒なのか、雰囲気なのか。スポーツバーでワイワイしたいかもしれないし、女の子と話したいかもしれないし。一概にこの店とは言えないんですよね」とJUICEの佐藤さん。たしかに。そういう意味で宇都宮はあらゆるタイプのバーがあるので、老若男女問わず楽しめ、TPOに応じて使い分け可能なところといえます。

・泊まるなら東武宇都宮駅に近いほうに。
オリオン通りという市内のメイン商店街を囲むようにBARがひしめきあってます。この辺りは東武宇都宮駅に近く、JR宇都宮駅には徒歩30分くらいかかります。

宇都宮はJR宇都宮駅側と東武宇都宮駅側に中心が分かれていて、官公庁街はJR側に、繁華街は東武側という凡その図式があるようです。

ぼくは宿は東武宇都宮駅にほど近いホテルアーバングレイス宇都宮に。帰りは5分くらいしか歩かず、ずいぶんラクでした。

宇都宮カクテル倶楽部はこんなパンフレットも作ってます。

宇都宮カクテル倶楽部パンフレット

宇都宮カクテル倶楽部パンフレット

宇都宮カクテル倶楽部パンフレット

地図もバッチリ。

宇都宮カクテル倶楽部パンフレット

どうですか?チカラ入ってますよね。帰れなくなるでしょ、酒飲みは。宇都宮、おそるべし。また来よう。

この記事を書いた人

hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

Webの中の人|ウイスキー文化研究所(JWRC)認定ウイスキーエキスパート|SMWS会員|訪問したBAR国内外合わせて200軒超|会員制ドリンクアプリ「HIDEOUT CLUB」でBAR訪問記連載(2018年)|ひとり歩き|健全な酒活|ブログは不定期更新2,000記事超(2022年11月現在)|ストレングスファインダーTOP5:共感性・原点思考・慎重さ・調和性・公平性