お酒を楽しんだ翌日は午前中から車で大谷資料館へ。変哲のないネーミングに騙されてはいけません。ただの石の採掘場でもない。地下に広がる空間は、神秘的でひたすら広大。結果的に今回の小旅行で、最高に「行ってよかった」ところのひとつでした。
東京ドーム何個分とか東京タワー1個分といい地下資料館という名前だけでは想像できなかったのですが。入場料800円を払い、すぐ脇の狭い地下入口から階段を100mくらい降りていくと、突如こんな景色が眼前に広がります。
遥か向こうが霞んで見えません。そして冷気が半端ない。夏でも上に羽織るものを持参するのがおすすめです。
一応こういう看板もあるのですが、東京ドーム何個分とか東京タワー何倍分とか、空間認識を比喩で表現されても今ひとつピンとこないんですよね。
この地下採掘場では大正時代から70年もの間に掘削され、現在は観光用として有料開放しているほか、映画やテレビドラマのロケ地、音楽番組の収録、コンサート、イベント、結婚式などに利用されています。内部ではそのときの様子を収めた写真が額装されていました。
ドンペリのイベント開催記念の名残も。外国車の発表にも使われたらしく、いったい地上のどこから入れられるのだと思いましたが、ちゃんとそれ用の出入口が設けられています。最近では映画「るろうに剣心 京都大火編」の大がかりなロケも敢行されたそうです。
大谷石は建物の土台や内外装、蔵や倉庫の積み石、敷石などに利用されてきた”ブランド石”です。フランク・ロイド・ライトが設計した旧帝国ホテル(現在は明治村に移築保存)にも、この大谷石が使われています。
いたるところがライトアップされ、空間を彩るオブジェも。上からの照明に見えるものは、実は外光なんです。上界(現実)との繋がりを見ているかのようです。
これなどは軽い既視感を覚えました。『未知との遭遇』でもあり、『川口浩の探検シリーズ』のようでもあります。
大谷資料館、まさかこれほどのものとは思いませんでした。こんな舞台装置があるなら、そりゃイベントや映画の作り手のイマジネーションを刺激しないわけがありません。ここでシェイクスピア劇をやってくれたら最高ですね。すばらしい空間でした。