神戸から大阪に移動し、万博記念公園へ。岡本太郎デザインの高さ40m、南北292m、東西108mもの巨大な「太陽の塔」を半周して一望してから、公園の入口から約15分ほど歩いたところにある国立民族学博物館で特別展『驚異と怪異 想像界の生きものたち』(~2019年11月26日)を見てきました。
人魚、河童、龍からネス湖のネッシーまで、この世に「あり得ない」生物や現象をカタチにした数々が展示されています。それらに人はなぜ怪しいとか不気味さを感じるのか。同館の山中由里子教授による、展示冒頭の解説にナットクさせられました。以下部分抜粋。
馬には足が4本ある、投げたボールはいずれ落ちるといったような自然界の規則は、生物や物理現象に対する直観的理解として進化の過程で人間の脳の回路に配線済みであると言われていますが、生まれながらにして備わっているこの自然理解からズレるものに出会ったときの混乱が、「びっくり!」、「怪しい…」なのです。
なーるほど。遭遇当時の断片を継ぎ合わせ、(複数の)人によるイメージを思い描いたもの。人はそのときの体験を何らかの形にして残しておきたい本能があるのかもしれませんね。本展にはその絵画、面、オブジェ、書物などが展示されています。
いやはや、展示全体けっこうキテますね。なかでも人魚の模型はグロテスク。アニメーションに出てくるような甘さは皆無で、多数のそれらを見ていると、げんなりしてしまいます。江戸時代はそれを見せ物にしたそうですから、「怖いもの見たさ」というのも人間の回路にあらかじめインプットされているものなのかも。
ただし、なかには想像上の産物をかわいらしく再現した作品もあり、今のコミックカルチャーにも影響も与えているようでもあります。展示のラストには、現代のアート、マンガ、ゲームでの幻獣の世界が。展示にはありませんでしたが、小さいころにハマった「ドラクエ」の敵キャラも、まさにそんな幻獣ばかりでしたよね。
不気味でもあり面白くもあり。その境界線はなんでしょう。深海魚をかわいいと思うか不気味と思うかでも解釈が人によって別れると思いますが、結局は人それぞれの主観、感性によるところなのでしょうね。