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演劇『ヒストリーボーイズ』:「受験勉強で得られないもの」とは。

『ヒストリーボーイズ』(2024年7月)

アラン・ベネット作、常田景子訳、松森望宏演出『ヒストリーボーイズ』観劇(2024年7月21日12時公演/あうるすぽっと)。
英ローレンス・オリヴィエ賞、米トニー賞最優秀作品賞を獲得したストレートプレイです。
若い俳優たちの熱量と、青くささとBLさが漂う物語に、ややウンザリでしたが、最後の最後でストンと肚落ち。
教師同士の指導方針の対立、生徒たちのまっすぐさと危うさ、教師と生徒の丁々発止のセリフの応酬など、要素てんこ盛りの群像劇を「ネタバレなし」で軽く振り返ります。

あらすじ

舞台はイギリスの進学校。英語と一般教養の担当教師ヘクター(石川禅)は、受験には役に立たない文化・芸術を生徒に説いている。オックスフォードやケンブリッジを目指すデイキン(片岡千之助)ら男子高校生8人は、そんなヘクターの授業を面白がりながら受けていた。

が、進学実績を上げたい校長(長谷川初範)は、優秀な若手教師アーウィン(新木宏典)を新たに雇う。最初は生徒に馬鹿にされていたアーウィンだが、受験に打ち克つためのユニークな授業で、徐々に生徒の信任を得ていく。8人の生徒はヘクターとアーウィンという考えの相反する教師の間で揺れ動きながら、大学合格を目指す。

枝葉末節が気になり、物語の本質が……

この物語の本質は、「一見すると役に立たないことでも、後になって必要と分かるときがくる」という、教育・教養の本懐。
それが徐々に見えてきて、結末でようやくクッキリ&すっきりします。

そこに至るまでが冗長に感じてしまったのは、教師の不祥事と糾弾、教師と生徒の不適切な関係、途中で(ミュージカル的でないものの)挟まれる歌唱などあったせいか。
歌舞伎の片岡さんをはじめ、いわゆる2.5次元作品で活躍している俳優を見るのは新鮮で、その活きのよさが伝わる作品です。
観客も女性が大半で、ロビーには推し担によるフラワースタンドがズラリ。
「あなたの知らない世界」をまざまざと見せつけられ、今の潮流はこんなことになっているのかと驚嘆しました。

まとめ

本作は2014年に小川絵梨子演出、中村倫也や松坂桃李などの出演で舞台化されています(ぼくは未見)。
その当時から一気に若返った感がありますが、どうせなら見比べてみたかった。

帝劇ミュージカル『エリザベート』で活躍していた石川禅さんを見るのが久しぶりで、そのころと変わらず美声を披露していたのはさすが。
紅一点の固い教師役・増子倭文江さん、権威主義的な校長を嫌み半分で演じる長谷川初範さんなどのベテラン勢と、若い俳優さんの絶妙なバランスが個人的には刺さりました。

この記事を書いた人

hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

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