上野公園の東京都美術館(都美)で開催されている企画展『奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド』に行ってきました(~2019年4月7日)。
作品が展示されている絵師は岩佐又兵衛、狩野山雪、白隠慧鶴、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢芦雪、鈴木其一、歌川国芳の8人。織田信長の家臣・荒木信重の子である岩佐又兵衛から幕末浮世絵の国芳まで、約300年もの江戸絵画史の一側面が俯瞰できる展覧会です。
本展の礎となった『奇想の系譜』を著し、若冲ブームの仕掛人ともなった美術史家・辻惟雄さんを顧問に、江戸絵画史で光が当たらなかった絵師たちの作品を一堂に集め、紹介しようというもの。今でこそ評価も人気も高い若冲をはじめ、奇想天外・破天荒な画風で観る者を引きつける革命児たちの足跡をハイライトでたどります。
展覧会は若冲からスタートして、国芳で終わる構成。「奇想」を象徴するかのような画風のこの2人の導線が、案の定激しく混雑していました。
ぼく自身は、白隠慧鶴による『達磨図』が格好良かった。大判でない絵ですが、これを見つけられただけで来た甲斐があったというもの。横向きで墨一色だけ、なるほど一筆書きのような極めてシンプルな禅画。上には「どふ見ても」と書かれているようですが、何が「どう見ても」なのか。意味深でいろいろな答えがあるなぁと、しばし絵の前で佇みました。実は公式サイトでこの絵の一部が見られますが、できれば直に見てほしい。
江戸期絵師の世界は、豪放磊落でありながら緻密です。余分な要素を削いで大胆に描きつつ、リアルさも感じる曽我蕭白の屏風絵もあれば、農民の耕作や向けの相撲などを細緻に描いた狩野山雪の紙本着色もあり(山口晃画伯の作品を思い出させる)、全113点の作風の幅広さに感嘆させられました。
始まったばかりでもあるせいか、けっこうな人出。夕方16時以降に行くのが吉かもしれません。公式ツイッターに混雑情報も出ているので参考まで。会期中、展示替えもあるそうですから要チェックです。