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映画『ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件』:トニー・レオンの弾けた演技に魅了

『ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件』

トニー・レオンとアンディ・ラウ再共演の報せだけで沸き立ちましたが、期待に違わずいい出来でした。
『ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件』(2023年香港・中国 / フェリックス・チョン監督 / 金手指 The Goldfinger)は詐欺師と捜査官の攻防を描く、さながらマネー版『インファナル・アフェア』(2002年香港 / アンドリュー・ラウ&アラン・マック監督 / 無間道 Infernal Affairs)の趣きです。
結末には触れませんが、ややネタバレ気味に紹介します。

『ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件』あらすじ

1980年代の香港。海外でビジネスに失敗し、裸一貫で入国したチン・ヤッイン(トニー・レオン)は大胆かつ巧妙な手口で違法取引を連発し、徐々に香港で地歩を固めていく。やがてチンは株式バブルに乗って、資産100億ドルものコングロマリットの総帥として一躍相場の申し子に。
だが、チンの企みに気づいた汚職対策独立委員会(ICAC)の捜査官ラウ・カイユン(アンディ・ラウ)は、その足跡を執念深く追い続ける――。

人たらしな詐欺師 VS. 謹厳実直なエリート捜査官

凄腕詐欺師チンは自分と敵対する人間であっても、これと見込んだ人間をヘッドハンティングして仲間に引き入れてしまう度量を併せ持ちます。
のみならず彼にターゲットに定められ結果的に被害者となる面々も、彼の手練手管に惑わされて骨抜きにされてしまう。

チンの表の顔があまりに魅力的なため、強欲で残忍な裏の顔に気がついても時すでに遅し。詐欺の片棒から足抜けしたくてもできない沼にハマっていたというパターンです。
一度はチンの仲間になったクレバーな男女たちも、司法取引などを通じて仲間割れし散り散りになった後で、彼の手にかかってしまいます。

表と裏・陽と陰のギャップが激しいチンのキャラクター設定が魅力的で、前半は詐欺師のサクセスストーリーかと勘違いしたほど。
これは演じる俳優の実力に尽きますが、実際トニー・レオンは振り切った演技を披露しており、彼を好きになってしまいそうな魅力を放ちます。

対してラウを演じるアンディ・ラウは非情さよりも職務に忠実で優秀なキャラ。わずかな手がかりから端緒をつかみ、チンの懐柔工作を歯牙にもかけません。
弾けた犯罪者とストイックな追跡者。
つまり本作はやや犯罪者寄りに描かれているわけで、アンディ・ラウさんのファンにはやや物足りないかもしれません。

ちなみにふたりとも実年齢は還暦越え。そうと感じさせぬ若々しさにも瞠目です。

80年代バブルを再現した映像にも心躍る

ふたりと周辺人物を彩るのが、80年代の株式市場ブームを再現した映像と演出の数々。
タイトルどおりキンピカの建物や豪華なインテリアの中に、札束が飛び交います。
取引成立直後の会議室にカンカンダンサーが飛び込み、シャンパンが弾け、Boys Town Gangの「Can’t take my eyes off you」が大音響でかかる。たまらんなぁ。

金融をテーマにした映画にハズレナシ?

スコセッシの『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013)や『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015)、日本でも『ハゲタカ』(2009)など金融の世界を題材にした映画はあまたあり、どれも出来がいい。
個人的にお金にまつわる話が好きだからかもしれませんが、それを差し引いても財とか金は人間の本性を浮き彫りにしやすいのは確かで、物語に引き込まれないはずがない。
そこに欲と欲が絡み合う詐欺が重なればなおさらです。

2025年1月29日 TOHOシネマズ日本橋で鑑賞

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hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

Webの中の人|ウイスキー文化研究所(JWRC)認定ウイスキーエキスパート|SMWS会員|訪問したBAR国内外合わせて200軒超|会員制ドリンクアプリ「HIDEOUT CLUB」でBAR訪問記連載(2018年)|ひとり歩き|健全な酒活|ブログは不定期更新2,000記事超(2022年11月現在)|ストレングスファインダーTOP5:共感性・原点思考・慎重さ・調和性・公平性