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【演劇】『メアリー・ステュアート』:シェイクスピア並みの膨大な台詞量と格調高さ

PARCOプロデュース2026『メアリー・ステュアート』

プログラム8ページ、本作の翻案を手がけたロバート・アイク氏のプロフィール文にしれっと恐ろしいことが書いてあります。
2016〜17年にロンドンのアルメイダ劇場での初演時では毎公演コイントスで主役を決めていた、と。ひえぇー。主役=メアリーとエリザベス1世を担う女優は、どちらを演じるか当日の幕開きまでわからない。つまり2人分の台詞と演技を体得せねばならんわけで。
これが評判を呼び全公演チケット完売、18年にはウエストエンドのデューク・オブ・ヨーク劇場に進出したそうです。

タイトルロールを宮沢りえ、エリザベス1世を若村麻由美が務める『メアリー・ステュアート』(2026年4月8日〜同年5月1日、PARCO劇場、福岡・兵庫・豊橋・札幌公演あり)鑑賞。
ネタバレなしで振り返りますが、これから観劇される方はブラウザバックを推奨します。

PARCOプロデュース2026『メアリー・ステュアート』あらすじ

16世紀末のイングランド。プロテスタントのイングランド国教会を復活させた女王エリザベス1世(若村麻由美)は、母国から亡命してきたスコットランド女王メアリー(宮沢りえ)をフォザリンゲイ城内の囚人部屋に幽閉する。カトリック教徒で正統な王位継承権を主張するメアリーは、女王への謀反という廉で死刑宣告を受けるが、エリザベスは執行令状への署名をためらっていた。
メアリーを監視する立場でありながらカトリックに傾倒するモーティマー(木村達成)の手引きで牢からの脱出を企むメアリー。

メアリーの寵愛をも受けるレスター(橋本淳)、メアリーの死刑を画策するバーリー(谷田歩)、メアリーの情状酌量を助言するタルボット(段田安則)ら重臣の主張にどうすべきか悩むエリザベス。
ほどなくエリザベスはフォザリンゲイ城の荘園に狩りに出向いた際、ついにメアリーと対峙する。

台詞の量がとにかく多い

ドイツの劇作家フリードリヒ・シラー(1759-1805)の戯曲を、英国の劇作家&演出家のロバート・アイク(1986-)が現代に向けて翻案、小田島則子さんが翻訳。
メアリーとエリザベスはじめ登場人物の多くがかなりの台詞量で早口、ひとりの台詞が三段組紙面の半ページにわたる場面もざらです。
実際、戯曲(会場ロビーで本作の台本を掲載した早川書房『悲劇喜劇』2026.5月号を販売)を読むと膨大さをカバーするように、アイク氏は本文の冒頭で「この戯曲における台詞は素早く言う。」と注釈を付けています。

ト書き中でも「駆け込んでくる」「何かが壊れる」「皆アドレナリンが上昇している」「吐きそうである」「空気がどんどん張りつめていく」と、ほぼ全編にわたり緊迫したドラマが繰り広げられます。

かといって栗山民也さんの演出は性急ではなく、むしろ台詞のひとつひとつを拾って、きっちり観客に聴かせるような印象。
生まれながらにして王位が約束され、3度の結婚を繰り返してきた恋多き背景ある女王メアリーに扮する宮沢りえさんは、牢獄の中でも清冽な魅力を放ちます。

一方で「自分で選べるのなら、私は未婚のまま生きて墓碑銘にはこう刻んでもらいたい、『ヴァージン・クイーン、ここに眠る』、と」と冷徹に、重々しく披瀝する若村さんのエリザベス。

当時の英国宮廷のドラマとなると、どうしても権謀術数渦巻く人間関係と、ちょっとしたボタンのかけ違い(コミュニケーション不足と言ってしまえばそれまでだが)から、ああいう結末になるのだなとつくづく。

松井るみさんの美術は、牢獄と荘園とウエストミンスター宮殿などを兼ねており、複数の椅子(とその配置)、最低限の小道具のみで両者の置かれた立場を表現。
クライマックス手前の告解の場面での照明も巧みで、格調高い台詞に満ち溢れた戯曲を引き出すような引き算の舞台も大拍手でした。

あまり詳しく触れすぎると、それ自体がネタバレになるのでこの辺で。

2026年4月11日18時開演回 PARCO劇場

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