東京都江東区に現存する於三稲荷神社に由来する怪談『おさんの森』と、民話を彷彿させる不思議な噺『夏の医者』のネタ出し。
お暑い最中に涼風吹き込む時間でした。
寄合酒 枝次
夏の医者 今松
仲入り
おさんの森 今松
2026年7月16日18時45分開演 赤坂会館6F稽古場
『おさんの森』のおさんは「阿三」と表記されることもあります。
今松さんがまくらで「三遊亭圓朝作といわれていますが実際のところは……」と。どうやら不明な噺は圓朝といっておくのが無難であり、また箔が付くというものなのでしょう。
旗本二男の新十郎と団子屋看板娘の阿三が医者藪井竹庵の紹介で出会い、互いに一目惚れし関係を持つ。
実はふたりは兄妹の間柄。その事実を知った新十郎がきっぱりと阿三との逢瀬を断ったことから、阿三は恋煩いで亡くなったと竹庵が告げに来る。
が、母親の四十九日法要中の新十郎のもとに阿三が現れ、新十郎はまたしても関係を続ける。
その正体は阿三の幽霊で、住職が屋敷に札を貼ると阿三は邸内に入れなくなる。
外から会いたいと新十郎に呼びかける阿三の幽霊。
やがて身を固めた新十郎のもとに蛇が現れる。退治を繰り返しても夜な夜な現れる蛇は阿三の化身だった。
その蛇を捕らえて供養した場所が「阿三の森」と呼ばれ、それがいつしか「お産」に転じて安産祈願の稲荷になったという由来の一席です。
そんなわけで、聴けば聴くほど『牡丹灯籠』そっくりw
今松さんのまくらの通り、圓朝が似たような噺を2作も世に送り出すのだろうか謎です。
ただ個人的には刺さりました。
阿三が新十郎を訪ねてくるときの下駄の音「カラァン、コロォン」という音といい、阿三の新十郎への悲痛な思いといい、涙を誘うものがあります。
切ない話、好きなんですよね。落語であっても。
『夏の医者』は一昨年に入船亭扇遊さんで聴いて以来の2回目。
落語というよりも『まんが日本昔ばなし』に出てくるような物語で、笑いどころよりも不可思議さを咀嚼するような味わいがあります。
