鈴本演芸場2019年(令和元年)10月上席夜の部は、「正雀噺の世界」と題された林家正雀さんのネタ出し公演。その9日目に行ってきました。演目は松本清張作「左の腕」。いやぁ最高にシブかった。清張ファンなのでこの回をひじょうに楽しみにしていたのですが、期待以上でした。
江戸で飴売して糊口をしのぐ卯助は、深川の料亭松葉屋の板前・銀次の口利きで、娘のおあきとともに雇われる。生真面目なふたりは松葉屋の内儀に重宝されるが、卯助は常に左腕の肘下を包帯で隠していた。松葉屋にたかる目明しの麻吉は、卯助の素性を暴こうとする。
というストーリー。あらすじから主人公・卯助が裏社会の人間と分かりますよね。その決着の付け方、落語としてのオチもかっこよくきれいで、最高に俺好みなハードボイルド噺でした。
それにしても、どうして清張作品が落語になったんだろうと思っていたら、同じ夜の部に出演中の文蔵さんがツイートで解説してくれていました。
今夜鈴本演芸場で正雀師匠が演じる
「左の腕」
は松本清張の短編小説集[無宿人別帳]の中の名作で先代文蔵が清張氏の許可を貰い二ッ目時代に演じた噺です。
師匠は、
「飴売り卯助」
と演題を代えて演じてました。
12月のプレミアム文蔵で演じる予定です。
ソデで聴いて参考にしようかと。— 三代目橘家文蔵 (@emonkake_b) October 9, 2019
文蔵さんが演じる卯助には、凄みが利いていそうですね。調べてみたら、かつてBSテレビ東京でドラマ化されているし、驚いたことに、原典を柳家小三治さんが朗読するオーディオブックも新潮社から出ていました。
この日は食いつきに漫才のホームランさんが登場。ホームラン勘太郎さんが入院していて、寄席の舞台から数カ月遠ざかっていたんですよね。この日がコンビ復活4日目だそうで、久しぶりに観た二人の漫才に、なんだかホッとしたというか、うれしくなりました。復帰おめでとうございます。
林家扇兵衛「牛ほめ」、鏡味仙三郎社中、桂やまと「豆や」、入船亭扇遊「棒鱈」、ニックス、橘家文蔵「桃太郎」、古今亭文菊「夢の酒」
中入り
ホームラン、三遊亭歌奴「手水廻し」、アサダ二世、林家正雀「左の腕」松本清張 作