強きを挫くのは簡単ではない。

ハーヴェイ・ワインスタインさんのセクハラ、驚きました。映画ファンには名の知られたハリウッドの重鎮ですから、一報を聞いたときは「まさか」とさえ思いました。

お金も地位も名誉も築きあげ、おそらく何ひとつ不自由ないだろうという人のダークサイド。都市伝説のように語られるショービズ界のこうした話が、やっぱり実在するのだとも見せつけられてしまいました。LA在住の映画ライター、猿渡由紀さんが経過を詳しく書かれています。

マット・デイモン、クエンティン・タランティーノ、ケビン・スペイシー……。本件でいろんな人が騒動の余波=とばっちりを食ってます。前者の二人は「記事をつぶそうとした」「見て見ぬふりをした」などと言われ(本人たちは否定)、後者はワインスタイン騒動が報じられなければ露見しなかったと思います。

が、しかし。彼らがセクハラを止められなかったことが事実だとしても、ぼくは批判できない。特に「見て見ぬふりをした」といわれるタランティーノのことを。

単純に自分自身に置き換えてみれば分かるんだけど。自分の仕事、もっと言うと「これからの人生のカギを握る」ような人間が横暴をはたらいていたとして、それを告発できるか。大口取引先やスポンサーの悪事を暴けるか。

告発した影響がブーメランとして跳ね返らず、自分の食い扶持に困らなければ、問題ないでしょうね。立ち向かえる人は立派だと確かに思います。が、弱い人間はそうはいかない。だから世の中には内部告発とか匿名通報制度が存在するわけで。

天才は狂った側面があり、その天才を取り巻く人々が調和することで、グループや集団が成り立っていると常々思う。ワインスタイン氏はあまりにも常軌を逸していたから告発された。この事件でギョーカイが完全に浄化されるとは思えないけど、被害に遭った人のトラウマが少しでも和らぎ、溜飲が下がれば良いなと願う。