新宿ゴールデン街で思ったこと。

渋谷や世田谷、吉祥寺辺りはアウェー感満載で足を運ぶだけでも相当なエネルギーが要るのだけど。同じ東京の西側でも、新宿は大好きな街です。

生まれが杉並区で、よく遊んでもらっていた親戚の家が丸の内線方南町駅に近い堀ノ内というところにあります。新宿はそこからいちばん近い繁華街なわけです。幼いころから親戚によく連れてってもらい、なじんでいたのが大きいのでしょうね。

歌舞伎町や二丁目の猥雑さと、パークハイアットのような別天地。どちらも新宿の顔であって、それらが綯い交ぜになっているのがたまらんのです。どちらも日常であって非日常なんですよね。

新宿で通っているBARはありますが、新宿ゴールデン街や思い出横丁(「しょん横」という旧名のほうがしっくりくる)にも足が向きます。

最近、新宿ゴールデン街に急激に外国人ツーリストの姿が目につくようになりました。というか、外国人ツーリストだらけ! 平日昼の銀座並みに多いですよ。

彼ら彼女らは、店に入るのにためらいがない。ちらっと中を覗いて(夏はドアを開放している店も多いし)、サッと席に着く。それだけならどうってことないけど。

――How many people? What can I get you?

お店のご主人やママが、わりと平然と英語をスラスラっと喋るわけです。

もちろんゴールデン街にかぎった話ではなく、銀座や六本木などのBARでもそう。日本のバーマン、すごいですよね。お酒を作る技術、お酒の知識、そして客あしらい。加えて、この適応力!

すごいと思うのと同時にショックなんですよね。そこまでやらんといかんのか、と。

日本語でいいじゃん。

外国の方々も「せっかく日本に来たのに母国にいるみたいだ」とガッカリする人、いると思うんですよね。海外に行くたび英語をできるようになりたいと思う日本人(僕のことね)のように、日本語を聞いた彼ら彼女らだって「日本語が喋れるようになりたい」と思う人がいるんじゃないかな。

ある程度の不便さあってこそ、旅行の楽しみ、醍醐味だと思うんだけどなぁ。

でも日本のバーマンからすれば、注文を取るのに難儀するよりは、英会話力を身につけたほうが合理的なんですよね。何よりも「サービスしたい」という思いゆえ、なのでしょう。難しい……。

たどたどしいながらもコミュニケーションできてる感じが理想ですね。……って変かな。

新宿ゴールデン街

そうそう。ゴールデン街は駆け出しのころ、23歳だか24歳のとき、先輩に連れてってもらったのが最初。その先輩がバーボンの「オールドフォレスター」をボトルキープしていて、なんてかっこいいんだろうと憧れたものです。それから二回り、今では自分が同じ道へ。

上司から部下に、先輩から後輩に、父から子に。ほんとうはお酒ってこうやって受け継がれていくものだと思う。「友達」の場合は、同じ嗜好という劇的な出会いがないかぎり難しい。それに友達とは作るものでなく、できるものだからね。

残念なことに、お酒の文化が引き継がれなくなりつつあります。それはアルコールは健康に悪いという禁酒運動のような拠りどころではなく、コミュニケーションの問題です。共有したくても、会社に止められる時代ですからね。若い人のほうも上の世代と飲みたいという人は、そう多くないのかもしれません。もうそういう時代ではないんですね。

ただ、それでも言いたい。知らなくていいことなのだけど、知っておけば人生がちょっぴり楽しくなる。飲む人も飲まない人も、酒場ってコミュニケーションプレイスになるんです。

読書や映画、音楽だって同じこと。これらとの違いはお酒の場合、ポケットマネーが多少必要だということ。や、それがいちばんの難問なのか。

教えたくても必要ないと言われ、一人で行くにはBARは敷居が高い。どうすれば皆が楽しめるのか、今けっこう考えてます。

この記事を書いた人

hiroki

hiroki

編集者 / ウイスキー文化研究所(JWRC)認定ウイスキーエキスパート / 訪問したBAR国内外合わせて100店超 / 会員制ドリンクアプリ「HIDEOUT CLUB」でBAR訪問記連載(現在は休止中) / ひとり歩き / 酔っぱらわない酒活実践者 / ブログは原則毎日更新600記事超(2018年10月現在)/ ストレングスファインダーTOP5:共感性・原点思考・慎重さ・調和性・公平性