作業用BGMに落語がいい、ということを書きました。五代目古今亭志ん生、十代目金原亭馬生、三代目古今亭志ん朝といった亡き方々の名演から、最近の噺家の熱演まで。最近はYouTubeなどの動画サイトで、昔の噺家の落語も聴いてます。
亡くなった方は、今までなら横顔を本やテレビでしか知ることができませんでした。今は図書館に行けばCDはあるし、検索すれば出てくるし。いい時代ですよね、ほんとに。
で、気づいたこと。古い人にさかのぼるほど「テンポが異なって」「ピンと来なくなる」のです。
テンポの違いは、言うまでもなく時代の流れでしょう。昔の人が今の桃月庵白酒さんや春風亭一之輔さんを見たら、せわしなく感じるのでしょうか。漫才のホンキートンクさんも、とにかく短い時間にネタをこれでもかと詰め込んで、客の息もつかせない感じです。とにかくスピード感は全く違います。
ピンと来ないというのは、もしかすると自分が年齢を重ねたら変わるかもしれません。20年後、ようやく志ん生の良さに気づき、目覚めるとか。
だから、「やっぱりすげぇ」と思ったのは志ん朝さんの落語です。亡くなった名人の方では、志ん朝さんがいちばん世代が近いことが影響しているのは間違いない。今聴いても新鮮なんですもん。
もう志ん生親子については語り尽くされている感がありますが。糸井重里さんが「ほぼ日」で語った志ん朝さん愛について、共感しました。
昔のウイスキーを知る人はその良さを回顧しますが、噺家にしても同様ですね。昔をたどる、思いを馳せるのはもちろんいいのですが、僕は今の時代の人間なので。お酒も落語も、その他あまたのエンターテインメントも、今まさに作られているものをまずは追求していこう。さかのぼるのは、それからでも全然いいよね。