耐震補強や保存工事のため休館していた、上野公園の奏楽堂に行ってきました。リフレッシュされた外部・内部だけでなく、5年ぶりに日曜コンサートも復活したのもうれしい。
奏楽堂は「台東区立旧東京音楽学校奏楽堂」という名称。瀧廉太郎、山田耕筰、三浦環といった音楽家たちが、実際に舞台に立って演奏したり歌ったりしたそうです。
創建は明治23年でもともとは藝大の中にありました。昭和40年代に建物の老朽化が目立ったことで、存続が危ぶまれましたが、台東区が買い上げることで現在まで維持されている重要文化財(1988年指定)です。
歴史的な建物を保存するだけでなく、現役の音楽ホールとして「活用」しているのが奏楽堂の素晴らしいところ。これを「動態保存」というのだそう。
移築した歴史的建造物が集まる「明治村」を例にとると、違いが分かりやすいでしょうか。もっとも、明治村だって観光資源としてだけけなく、映画やドラマのロケに使われていますから、それはそれで動態保存といえるかもしれません。
動態保存の一例が、「日曜コンサート」という催し。毎週日曜日の14時と15時に30分間、パイプオルガン(第2・第4日曜日)とチェンバロ(第1・第3日曜日)のコンサートが開かれるんです。藝大生が演奏してくれます。入場料は一般300円、子ども100円。
動物園や美術館に行ったついでに、気軽に寄り道できる楽しみ、いいですよね。
パイプオルガン(コンサート用として日本最古)は客席からステージを見ただけでは分かりませんが、1300本ものパイプでダイナミックレンジを響かせるすごい楽器です。何より音色が素晴らしい。一度聴きに行ってみてください。
ちなみに奏楽堂のホールは2階にあります。1階は奏楽堂の歴史を縁の品々からたどる展示室になりました。パイプオルガンのミニチュアもあって、コンサートの帰りに皆さん熱心に触っていました。ちゃんと音を鳴らせるんですよ。
奏楽堂の復活はうれしい。たまにフラッと来ようと思います。