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ウイスキーフェス2018in東京(3)「スコッチユニバース」セミナー。

「スコッチユニバース」セミナー

英国はもとよりオランダ、スウェーデン、ベルギーなど、欧州から世界に名を轟かせるボトラーは数知れず。なかでもリキッドサンやモルトバーンなど、ドイツのボトラーも評価が高いですよね。というわけで、ドイツの新鋭ボトラー「スコッチユニバース」のセミナーに参加してきました。

講師はスコッチユニバースCEO・ブランドアンバサダーのミッヒェル・レイクさん。2016年にローンチしたボトラーで、スコットランドに倉庫を構えています。シングルカスクボトリング(カスクストレングス)、ノンチル・ノンカラーリングでのリリース。日本のほか、台湾、デンマーク、オランダ、オーストリア、ドイツ、シンガポール、米国で販売されています。

インディペンデントボトラーが身近な値段で良質なウイスキーを売ることができるのは、「蒸留所名をボトルに記載しない」条件と引き換え、なんてことは昨今珍しくありません。原酒をめぐる巨大メーカーとの攻防も当然あるでしょう。ファンは飲んで推測するのみ、ですね。

そんな状況下でミッヒェルさんが考え出したのは、ルールに反することなく、ボトルのラベルにヒントを表示すること。

そのヒントとはラベルに記したコード番号。飲み手が推測できるような座標を記しているわけです。

たとえば

123゜ P .2 .1′ 1899. 1″

なら

左から熟成月数・ピートの有無・カスクタイプ・樽の使用度合・蒸留所の設立年・生産地区分

というもの。

ピートの有無:(U)アンピーテッド、(P)ピーテッド、(LP)ライトリーピーテッド、(HP)ヘヴィピーテッド
カスクタイプ:「1」はバーボン樽、「2」はレッドシェリー樽など14種類ものタイプに。
樽の使用度合:「1」は1stフィル、「2」は2ndフィル。3rdフィルは使わないそうです。
生産地区分:「1」はハイランド、以降スペイサイド、ローランド、アイラ、アイランズの「5」まで。

パッと見、その数字・記号だけでは「?」ですが、読み方を知ると、かなり分かりやすい。ちょっと調べれば見当がつくと思いますよ。

テイスティングは以下の6種類でした(価格は税抜、銘柄はすべて推測です)。ちなみにネーミングは「宇宙」がテーマゆえだそうで、すべてのボトルに天体や星座名が冠されています。

「スコッチユニバース」セミナー

GEMINI I(ジェミニI)左上

熟成年数7年。62,3%。1stフィルアメリカンバーボンバレル。4年前にサントリーに買収された「グレンギリー」と思われます。若いのですが、香り強く、濃厚。バナナやバニラの香気がいい感じです。6,500円。

スコッチユニバース「ジェミニ」

LYNX I(リンクスI)中央上

9年。56.9%。1stフィルのオロロソシェリーホグスヘッド。「インチガワー」と思われます。インチガワーはオフィシャルが出ておらず、ジョニーウォーカーのキーモルト用としてのみ。貴重ですね。フェスのブースでも好評だったみたいです。レーズンの味が際立ってました。

ミッヒェルさん曰く「フルーツの代わりにできる朝食用のウイスキー」だそう。8,600円。

URSA MAJOR I(ウルサメイジャーI)右上

11年。60,3%。1stフィルのマルキ・ド・デルムワイン樽。「ウエストポート」と思われます。ウエストポートはTスプーンモルトで、中身は9割がた「グレンモーレンジ」。Tスプーンモルトとは、その名の通りスプーン1杯分ほどの別のウイスキーを混ぜたモルトウイスキーを指す俗称です。

おそらく推測ですが(強調)、さじ1杯分の別種とは「グレンマレイ」ではないのかな。あくまで推測ですよ、推測(再度強調)。9,300円。

スコッチユニバース「ウルサメイジャー」

TAU CETI II(タウセチII)左下

5年。65,4%。1stフィルのルビーポートワイン樽。「フェッターケアン」と思われます。

ミッヒェルさん曰く「蒸留所のマネジャーに、このボトルとオリジナルをブラインドで飲んでもらったところ、彼はオリジナルを指して『これは良くないね』と言ったんです」とニヤリ。7,200円。

ANDROMEDA A(アンドロメダA) Special bottling only for JAPAN 中央下

8年。57,5%。1stフィルのオロロソシェリーオクタブ。「アードモア」と思われます。日本限定73本のみのレアボトル。ここで使われたオクタブは、55lの樽だそう。若干ピーティですが、チョコレートやバタースカッチのニュアンスもある、リッチなウイスキーでした。9,800円。

スコッチユニバース「アンドロメダ」

CAllISTO VI(カリストVI)右下

10年。58,6%。1stフィルのマデイラバリック。「カリラ」と思われます。カリラの持つ特有の煙さと、マデイラとの相性が意外にいいコンビ。スモーキーすぎず甘すぎず、バランス抜群でした。僕は6アイテムの中でいちばん好み。12,000円。

スコッチユニバース「カリスト」

リカーズハセガワ、目白田中屋、ちゃがたパーク、秋田屋、武蔵屋の酒販店でのみ発売されるそう。お値段といい、中身といい、先々が非常に楽しみなボトラーです。

「スコッチユニバース」ミッヒェル・レイクCEO

ウイスキーフェス「スコッチユニバース」セミナー

この記事を書いた人

hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

Webの中の人|ウイスキー文化研究所(JWRC)認定ウイスキーエキスパート|SMWS会員|訪問したBAR国内外合わせて200軒超|会員制ドリンクアプリ「HIDEOUT CLUB」でBAR訪問記連載(2018年)|ひとり歩き|健全な酒活|ブログは不定期更新2,000記事超(2022年11月現在)|ストレングスファインダーTOP5:共感性・原点思考・慎重さ・調和性・公平性