2019年1月6日にスタートしたNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』、その初回を見ました。クドカンこと宮藤官九郎脚本。落語の噺に引っ掛け、かつ落語家を狂言回しにする構成。役所広司、中村勘九郎、ビートたけしといった豪華役者陣の好演。横尾忠則&山口晃といった日本の現代美術に欠かせない美術家がタイトルバックを手がける、など。
好きな要素がもりだくさんに詰まっていても、ドラマとして面白いかはまた別の話。正直どうかなと思っていましたが、想像以上に面白かったです。どうやら『真田丸』以来、大河を視聴することになりそうです。
大河というと別名「歴史ドラマ」なんて回りくどい言い方をして、遠回しにフィクションだとしているわけですが。NHKはあらゆる番組が「お勉強」テイストですから(そうでないと企画が通らないらしい)、大河なんか当然そういう説明のくだりを入れてます。
宮藤官九郎さんの脚本は、このあたりのお勉強的要素を最小限にし、代わりに連続ドラマとしての面白さ追求に振っているように思います。けっこう「大河らしくない大胆なつくり」と感じたくらいです。おまけに題材が五輪実現に向けた物語。ワクワクしないはずがありません。
狂言回しに落語を持ってきているのも宮藤さんらしい。古今亭志ん生を演じるビートたけしさんは、やっぱりたけしさんその人なんだけど、嫌みがないんですね。この調子で「おれが志ん生」と強引に言われたら納得してしまいそうな佇まい。若い時分を森山未來さんがやっているのはかっこよすぎて出来すぎの感がありますが。いやぁ、たけしさんの高座、良かったですよ。指導する古今亭菊之丞さんは陰の功労者ですね。
嘉納治五郎を演じる役所広司さんもはまり役。こういう一本気で熱い男を演じさせたら強いですね、役所さんは。時代劇と違い、近現代の歴史上の人物は造形が難しいと思いますが、役所さんで大正解。阿部サダヲさんはもちろん、辻萬長さん、春海四方さんといった芝居畑の人が見られたのがうれしい。キャスト、キラ星のごとくの豪華な顔ぶれです。
横尾忠則さんの手がける題字デザイン、山口晃画伯による東京の俯瞰図。細部に至るまで楽しさに抜かりないですね。
心配な点。志ん生が出ているということは、トーゼン古今亭志ん朝その人が出てこなけりゃいけない。1964年の東京五輪開催時にはすでに真打になっていたわけだし。うん、誰がこの方を演じるのかがモンダイです。キャスティングはとっくに決まってるんだろうけど、きちんとした俳優起用を期待して待ってますぜ、NHKさん。