「ポルフィディオ」といえば、プレミアムテキーラ好きの人にはおなじみでしょうか。そのポルフィディオがリリースしたオーストラリア産シングルモルトウイスキーをためしてみました。
ポルフィディオ 2G シングルモルト 43.4%
- 香り…強めの主張あり。ブドウ、ドライフルーツのコンポート、時間の経ったアプリコット。やや埃っぽさとプルーチーズ。
- 味…ハーブウォーター、海藻、麦芽。後半にわずかにバター。
- 総評…香り、味ともに未体験ゾーン。ウイスキー初体験の人におすすめするのは難しいが、変わったウイスキーを飲むなら選択肢のひとつ。
@ですぺら
「骨太な青臭さ」と店主の中村元昭さんのひとこと評。2GのGとは、オーナーのマーティン・グラッスルさん、エミリアーノ・グラッスルさんの親子2世代が開発したという意味からだそう。現当主がアガベスピリッツ以外に、新たなチャレンジをしていることの証でしょう。
ぼくは若草、グラッシー(青臭さ)な感覚と同時に、ウイスキーというよりも、グリューワインを飲んでいるような錯覚にとらわれました。
シングルカスクのカスクストレングス。ですが、このシングルモルトの最大の特徴は、原料の大麦をオーストラリア産のブルーバーレイ100%で占めていること、なのだそう。
大麦の古代品種でも耳にしたことのない「ブルーバーレイ」ってなんぞや?です。
中村さんが調べたところによると、近年栽培されている大麦は、大まかにブルーバーレイとホワイトバーレイの2種類。このウイスキーで使われているブルーバーレイは、オーストラリアのニューサウスウェールズ州産です。
ブルーバーレイはポリフェノールの一種アントシアニンが豊富ゆえ、濃く青みがかった色味に。経時変化によって、汚れたような茶褐色に変色してしまうのが難点。ですが、その抗酸化特性をきちんと評価する国(フランスなど)もあるんだそうな。
近年、見た目を重視する国際市場に対応すべくホワイトバーレイが偏重され、ブルーバーレイは畑から姿を消してしまった。そんな流れに抗うかのように、自然界の多様性を守って生産に奮闘する農家を支援すべく、オーナーがブルーバーレイのウイスキーを作ったんだとか。心意気ですね。
蒸溜と樽詰はオーストラリアで。その原酒を船便で運び、オランダで3年熟成。アメリカンオークをミディアムトーストしたという樽使いにも、こだわりの大きさを垣間見るようです。
それにしてもウイスキーの世界の広いこと、深いこと。今の時代、手工業が否定されがちですが、わざわざけもの道を行くような作り手の矜持、そういうものが大好きです。