軽井沢12年&軽井沢8年を飲み比べ。

ウイスキーの軽井沢12年と軽井沢8年

「軽井沢」っていい響きですよね。避暑地、別荘という漢字がしっくりくる、気位の高い印象があります。「リゾート地」なんてカタカナで呼びたくない。やはり「別荘地」と行きたいところ。ここはいつまでも高級で品がいいところであって欲しいのですよ。

その名を冠したウイスキー、かつてあったんですよね。オーシャン(大黒葡萄酒株式会社)が1955年(昭和30年)に創業した軽井沢蒸溜所で造られたものです。大黒葡萄酒と聞いてピンと来なくても「メルシャン」と聞けば、あぁとなる人が多いのでは。

そのメルシャンよりもさらに前、三楽酒造がメルシャンブランドを持っていた日清醸造を買収する前に造られたとみられる「軽井沢12年」と、メルシャンブランドでの「軽井沢8年」をいただくことができました。

軽井沢エクシード12年(三楽)

  • 香り…輪郭薄い。ブドウ。バタークリーム。後半にレモングラス。
  • 味…オイリー。ライトボディ。ブドウの皮。糖蜜、砂糖入りの麦茶のような甘み。
  • 総評…ノーブルで端正。驚きの飲みやすさ。シルクのようなテクスチャー。食前に粘って楽しみたい。

軽井沢エクシード12年

軽井沢8年(メルシャン)

  • 香り…主張あり。クリーム、白い花、時間経つとスミレ、香水のように。後半は理科の実験室。
  • 味…クリームのような甘さ。ミディアムボディ。紅茶。砂糖がけのデニッシュ。
  • 総評…艶やか。うっすらたなびく樽香が心地よく、8年とは思えない熟成感。こちらは食後酒としてじっくりと。軽井沢8年

@お酒の美術館 神田店

両者まったく違う個性。意外にも8年のほうがしっかりしている印象です。親会社に変遷はあっても、育ち(場所)が同じ気候風土だと、同じようにできるものでしょうか。蒸溜所の責任者、スタッフが変わると中身が変わるとはよく言われることですが、この軽井沢の両者には決定的な差異を感じませんでした。

軽井沢蒸溜所は残念ながら2011年に閉鎖。オフィシャルのリリースも継続されていませんが、ファンの間でデッドストックやボトラーからの限定品が一部流通しています。ま、それらは当然高値ですよね。再評価されるのはうれしいですが、安易にリブランドされないようにとも思います。ちなみに製造設備の一部であるポットスチルやモルトミルは、修復を経てガイアフロー静岡蒸溜所で再稼働や展示がされているようです。

この「軽井沢8年」はシングルモルトとは言わず、「100% MALT WHISKY」と表記していますね(「軽井沢シングルモルト17年」のように、シングルモルトと記載しているウイスキーはある)。まぁ要するに輸入=スコットランド産大麦を使用しているゆえ、なのでしょうけど。そんなことをいったら、完全にメイド・イン・ジャパンなウイスキーなんて数少な……(以下略)になってしまうのでは。

真のジャパニーズ・ウイスキー、真のジャパニーズ・シングルモルトってなんぞや。ある日本酒の造り手は、海外の品評会で原料の米だけは他県産という事実を問われ、ならば完全に地元産でやろうとチャレンジしたそうです。日本のクラフトウイスキーの造り手にも、それくらいの矜持を持っていただけたらなと思います(ふだん美味しく飲ませていただいているうえで生意気を言いますが)。供給が追いつかない今の状況でそんなこと言うのは野暮ですかね……。

この記事を書いた人

hiroki

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編集者 / ライター / ウイスキー文化研究所(JWRC)認定ウイスキーエキスパート / SMWS会員 / 訪問したBAR国内外合わせて100軒超 / 会員制ドリンクアプリ「HIDEOUT CLUB」でBAR訪問記連載(2018年) / ひとり歩き / 健全な酒活 / ブログは原則毎日更新750記事超(2019年2月現在)/ ストレングスファインダーTOP5:共感性・原点思考・慎重さ・調和性・公平性