渋谷のBAR、松濤倶楽部で行われた「マイベストバランタインをつくる会」に参加してきました。190年の歴史と伝統を誇り、目下世界第2位の売り上げを誇るバランタイン。その主力銘柄のひとつ「バランタイン17年」をロールモデルとして、キーモルトを“参加者が自分なりに”ブレンドして、自分好みのバランタインを造ろうというイベントです。
最初に松濤倶楽部の佐藤伸一さんにより、バランタインの歴史や過去5人しかいないマスターブレンダーの紹介が。そしてバランタインを形作るキーモルト4種類(スキャパ、グレントファース、ミルトンダフ、グレンバーギ)についての解説を聴きました。資料を下記に引用します。
SCAPA(スキャパ)=“第一印象” 最初にパッと口に広がる果実、花のような香り、軽やかさ。
GLENTAUCHERS(グレントファース)=“フィニッシュ” 滑らかで繊細な後味、ベリー系の味わい、ナッツ。
MILTONDUFF=(ミルトンダフ)=“骨格” 力強くしっかりしたブレンドの基礎を形作る。
GLENBURGIE(グレンバーギ)=“中核” ブレンドの中心、フルーティーでスウィート。
(バランタインセミナー用資料より)
この4種が飲み始めからフィニッシュに至るまで、どのようなうねりを見せるのか、計算されつくしたウイスキーがバランタインというわけです。
バランタイン17年自体は40種類もの構成原酒から成り立ちますが、今回はこの4種類+ブレンデッドウイスキーの「キャメロンブリッジ」をメンバーに起用。さらにアイラのシングルモルト「アードベッグTEN」を何滴か垂らして、自分なりのベスト盤を模索するものです。エッセンスを凝縮した、ベスト・ハイライト版ともいえますかね。
佐藤さんの解説をもとに言えば、「スキャパ スキレン」はマラスキーノチェリー、チェリーブランデーっぽさ。「グレントファース」は甘みのあるオイリーさ。「ミルトンダフ」はシェリー樽熟成ウイスキーの特徴をとらえたスパイシーさ。「グレンバーギ」はハチミツやりんごのようなフルーティさ。これらがそれぞれに備わっています。
イベントはグラスに注がれたモルト4種とブレンデッド1種を、各々がスポイトでそれぞれの酒を吸い上げ、まっさらなグラスに移し、混ぜていきます。ぼく自身はグレントファースが好みなので、これを軸として他のウイスキーを加えていってみました。その割合を記録し、マイベストのものを自選します。希望すればベストの比率で混合したオリジナルバレンタインボトルを作れる、とか?
いろいろと試行錯誤しながら5通り。3回繰り返した時点で、香りの印象を強くしたければスキャパを、豊潤さを求めるならミルトンダフをそれぞれ多めにすればいいのかな、と。そんな感触をもちました。いわば心臓たるグレンバーギは単体ではかなり軽い酒質で、もしかしたらバランタインには比率大きめに反映されているのかもしれません。
5通りのうち結局、一番最初に混ぜ合わせたものがベストかなぁという感じでした。が、ブレンデッドウイスキーを混ぜたほうが、個性がとっちらかずにバランスよくまとまります。用紙の裏にも書き込めるスペースがありましたが、疲れてしまいました。これを延々続けているブレンダーという職人はほんとうにスゲーと思います。
松濤倶楽部のみなさん&同席したみなさん、ありがとうございました。また別の機会に。