ザ・スコッチモルトウイスキー・ソサエティ(SMWS)のマスターブランドアンバサダー、ジョン・マッチェインさんを囲む懇親会に参加してきました。SMWSの成り立ちからボトルリリースの裏側、ジョンさんのルーツまで知ることができた約2時間。同席した参加者の、モルトウイスキーに対する熱量も高く、素晴らしい会でした。
会場はパークホテル東京のBAR「ザ・ソサエティ」。10人の参加者にウェルカムドリンクとして、ダルユーインのハイボールが振る舞われ、さっそくジョンさんのトーク開始。ザ・スコッチモルトウイスキー・ソサエティ株式会社の橋本さんが通訳しくれました。
この懇親会用にリストが配られ(ザ・ソサエティの常設ボトルかな?)、その中からワンショットずつ、何杯でも注文できるというオソロシイ(うれしい)サービス。とはいえカスクストレングスで、ジョンさんの話を聴きながらですので2杯だけ。ぼくは37.75「ウキウキするアロマと舌触り」(1997 18y 55.1%)、7.149「贅沢すぎる贅沢」(1990 26y 59.2%)をいただきました。
SMWSはノンチル・ノンフィルターなど、現在のボトラーズでは至極当然となっているリリースを定着させた組織であり、蒸留所名を直接明記しないコード番号システムで知られています。その代わり、上述のカギカッコで示したようなユニークなタイトルが付与されます。
SMWSがエジンバラで設立されたのは1983年。ジョンさんは翌1984年に入会し、発足当初のメンバー1000人のうちの一人。ソサエティ初のグラスゴー出身者だそう。
ブログでは書けないような多数の秘話をオープンにしてくれたジョンさん。ラフロイグが現在にいたるジョンさんの下地になっており、なかでも25年物には特別な思い入れがある様子。
SMWSには、会に認められた「テイスティングパネル」という、いわば有識者で構成された約20人のメンバーの承認をもってボトリングされるそう。メンバーはチェアマンに対し、サンプルのアロマ&フレーバーを表現し、最終的に合議でタイトルが決まるのだとか。
ジョンさんはこんなエピソードを。テイスティングしたウイスキーを「自動車の革張りのシート」という表現をしたところ、チェアマンに「どの車のことだ?」と車名を答えるようツッコミが。
そこまで突き詰めるココロは? 現在SMWSでスピリット・マネジャーを務めるユアン・キャンベルさんは「感じた香りは、自分の記憶や生活の中から来ているものだ」と話したそうで、なるほど納得。ジョンさんは、我々参加者に対し「まず飲み込む前に45秒、香りを嗅いでみろ。楽しんで表現してほしい。シリアスになりすぎるな」とアドバイスをくれました。
また、「家でソサエティボトルを飲むときは、ラベルを見ずに飲んでみろ。テイスティングに不正解はないのだから」とも。そうやって感性を磨けってことなのでしょう。そういえば、先日も美術館で「最初に作品の脇に書かれた、説明を読まないで」とガイドさんにアドバイスされたっけ。まずブラインド(するくらいの気持ち)で、自分の直感で得た感動を大事にしたいと、改めて痛感しました。
ご参加の皆さんの、知識も熱量もひときわ高かった懇親会。今後もできるだけ参加していきます。