ここ1週間ほど――。連日、自分の去就を知らせるため、また相談半分で、都内各所のおなじみのBARに足を運んでいます。酒を飲みながら、身の振り方の思念を告白するのですが「やりたいようにやればいい。ってか、もう決まっているんでしょ」とBARのマスターたちに見透かされ、苦笑するしかありません。
いや、ほんとに踏ん切りがついてないんですよ。なーんて、いつも通りに呑助の弁解や、他愛のない話でバーテンダーが接してくれるのがいちばんありがたいのですが。銀座のKさんは「とはいえ、ひとまずこれ、飲んでみませんか?」と。2杯目、飲み方はロックがいいなと希望して、出してくれたのがコチラ。バランタイン17年の旧ボトルです。
いつもなら、ちゃちゃっとテイスティングメモを記すのですが、今回ばかりはマスターとお喋りしながらじっくりと。感じたことといえば、現行のバランタイン17年よりも、よりベッタリとした酒っぽくて、濃い濃い。
なんというか、かつての日本酒が、飲むと「酒くさい」という、らしさと垢抜けなさを感じられたように。このバランタインも、古き良きスコッチの時代を想像させる濃さがあります。それは「リッチ」などという洒脱な表現で表すよりも、文字通り酔狂な舶来酒好きが、ひたすら強い酒を煽るにふさわしい。良い意味で、そんな古くささを想起させるものがありました。
むかしと今とで、味が変わっている。今のほうが軽くて洗練されている。時代の趨勢に応じたアロマ&フレーバーに調整されるのは当たり前の話で、だからこそ、むかしを知る人はある種の物足りなさを感じるのもまた然り。
今の若い世代でも古酒好きはいるだろうし、今のシニアだって軽いタッチのモルト好きはいるでしょう。人それぞれでいいと思いますが、このバランタイン17年は、個人的な転機と重なって、ちょっとしたごちそうになったのは言うまでもありません。どうもありがとう。