入社、転職や組織内での引き継ぎなどで、業務を説明する必要がある場合、相手にメモ帳を用いることを勧めています。自分が引き受け手になったときも必ずメモ帳は持ち歩きます。業務内容や申し送り事項を記すマニュアルがあったとしても、その内容が自分で理解できなかったり、受け手として補足したりする必要があった場合、書き足す必要がありますから。
ゆえにメモ帳を使うのですが、新しい仕事に取り組むにあたり、メモしきれないケースもあります。単純に覚えることが多いこともあるのですが、作業に気を取られるあまり、時としてメモする余裕がなくなるときもあるんですよね。
作業内容にもよりますが、良くできたマニュアルがあれば、受け手もそれを見ながら対応できることもあります。がしかし、それは定性定量で図れるものにかぎる話。仕事の中でも「職人系」のものは、マニュアルではやり取りできない神髄があるのでしょうね。
新聞記者は書き方の基本に「5W1H」があり、また禁則事項も定められていますが、書く内容において鉄壁の法則はありません。陶芸や漆器の職人は師匠や先輩たちの手先を見ながら、苦心して技術を習得し、自分のもの化していきます。大工は身体を駆使しながら、技をわが身に叩き込んでいきます。
これらは要領の良さ、向き不向き、好き嫌い(情熱の温度)によって、会得するまでの期間は人それぞれ。人によってはあきらめて次の道を模索したほうがいい場合もあります。
マニュアルを見ながら覚えるにせよ、技を練習したり見習ったりして覚えるにせよ。会得できるかどうかは、頭ではなく、身体が反応するかどうかです。「医者、記者、芸者は体で覚えろ」なぁんて俗語がありますが、これは案外どの仕事にも当てはまることで、会得しようとする人(受け手)がピンとこなければ、身に入って来ず、実にならない。身体で覚えるのは職人に限った話ではないのです。
あらゆる仕事もまず興味があればやってみて、あまりにもピンと来なければ、さっさと進路変更するのが良いんじゃないでしょうか。長生きするリスク、変化の速い世の中、忍の一字で耐えるくらいなんて時間がもったいない。さっさと行動したほうが良いですね。