映画『コンテイジョン』の予見性に戦慄する。

新型コロナウイルスがえらいことになってしまってますが、一刻も早い終息を願うばかりです。で、そういえばと自宅のレコーダーに録り溜めたままだった、2011年の米映画『コンテイジョン』(Contagion)を観ました。潜伏期間が短く、致死率が高い謎の感染症が世界に広がっていく様を、グランドホテル的なキャストで描いていきます。公開済みの映画ですが、ネタバレなしで触れます。

マリオン・コティヤール、マット・デイモン、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロー、ケイト・ウィンスレットといった錚々たる俳優を使って、よりによってパニック映画か、しかも感染がテーマで、とも思いましたが。考えてみればパニック映画って『ポセイドン・アドベンチャー』にせよ『タワーリング・インフェルノ』にせよ、キラ星のような俳優が大勢共演してますよね。悲劇性を俳優の演技で高めようとするのか、俳優の華やかさで物語のショックを薄めようとするのか、いずれにせよ、贅沢に予算が割かれています。

パニック映画といえばひたすら嬌声が響き渡る印象でもありますが、『コンテイジョン』は極めて静かに、淡々と、それでいて映像が洗練されている。それがまた怖い。ゾンビ映画、ホラー映画のような驚かすウワベの怖さではなく、気がついたら取り返しのつかないことになっていくパンデミックを冷徹に描いていきます。

感染源となった香港に飛ぶも、ワクチンを有利に一刻も早く入手しようとする地元医師に人質に取られる医師(マリオン・コティヤール)、スーパー・スプレッダーとなったキャリアウーマンの妻(グウィネス・パルトロー、よくこの役を受けたねぇ)に衝撃を受けながらも、娘を感染症から守ろうと奔走するミッチ(マット・デイモン)、怪しげな情報を流すジャーナリストくずれ(ジュード・ロウ)、密かに身内を安全に脱出させようとして総スカンを食らうCDC博士(ローレンス・フィッシュバーン)。どれも「いかにもありそう」な今的な人物と脚本、いたたまれなくなります。

複数のアンサンブルキャストによる複層的なストーリー展開は、『トラフィック』で実証済みなスティーブン・ソダーバーグ監督。物語はなぜか「DAY2」で始まるのですが、この回収の仕方が見事。オチの予見性には心底戦慄しました。まさか製作者も公開から10年後に警鐘を鳴らすことになるとは思わなかったのでは? コロナウイルスが猛威をふるう今、あえて観て損はない映画です。

この記事を書いた人

hiroki

hiroki

Webの中の人 / ウイスキー文化研究所(JWRC)認定ウイスキーエキスパート / SMWS会員 / 訪問したBAR国内外合わせて200軒超 / 会員制ドリンクアプリ「HIDEOUT CLUB」でBAR訪問記連載(2018年) / ひとり歩き / 健全な酒活 / ブログは原則毎日更新1,000記事超(2020年1月現在)/ ストレングスファインダーTOP5:共感性・原点思考・慎重さ・調和性・公平性