「友なきほうへ行くべし」「人の行く裏に道あり花の山」という相場用語が大好きです。これらの格言的な言葉、いろんな局面で使えます。日経平均株価が2万円を割った今時分のような、株式市場が波乱を起こしているときだけでなく、ね。
ひねくれ者というか、天邪鬼というか、多数派と同じ行動をするのが大嫌い。人が右へ行ったら左というように、常に逆張り志向なのです。だから、このウイルス騒動などでは、むしろ積極的に外出するようにしています。ま、とはいえ、文化施設は営業自粛、リアルのイベントは休止、演劇も落語会も中止や延期という体ですから、行くところは限られるのですが。
かつて浅利慶太さんが、率いていた劇団四季の料金値下げ(2008年)に踏み切った背景について「レジャー産業はとにかく景気に左右される。景気が悪化するとすぐに影響を受ける弱いもの」との旨を講演で話していたのが思い出されます。12年が経った今、またレジャー産業は試練の矢面に立たされています。
こんなときこそ、いつにも増して応援したい。けれど、やっていない。ぼくら楽しませてもらう側の客もつらいですが、一等つらいのは主催者はじめ関係者。興行を退くと利益が出ない、かといって進めるとウイルス拡散を助長するのかと批判される。
考えなくてもわかることですが、この自粛は「国が言ってる」もの。あくまで政府からの要請であり、本来は参加・不参加も、実施・見送りも当事者がそれぞれが決めればいいはずです。なのに、止すことが前提化してしまう。潮が引くかのように、一斉にサーッとやめちゃう。
いえ、わかりますよ。クラスターの端緒になりたくないとか、批判されたくないとか、負の心理がはたらくのは。ただ、考えもなしに、それ=自粛が当たり前になるのは変です。おかしな話です。有効な対策を講じて実施すれば良いじゃないですか。
ふだんは国に対して批判的な人も、それが当然だとばかりになる。主催者は、別に要請に反発してるわけでも悪意があるわけでもないのに、予定通りイベントを行うと、叩かれる。ふだんは主体性だ自主性だと言っておきながら、結局「皆、足並みを揃えて」みたいな感じになる。
なんというか、国が言うとなると、案外おとなしく従っちゃう人が多いんだなぁと。この勢いで、国が「ウイルスと戦え、そのために改憲だ、核武装だ、戦争だ」なーんて暴論吐いても(絶対ない、絵空事だと断言できないのが悲しい)、「国が言ってる」ってだけで、罷り通っちゃうんじゃない? そういう右へ倣えな風潮のほうが、よほど怖いです。
気味の悪さ、違和感。そうした自分の内心に従うと、逆張りになるんですよね、しぜーんと。