「得意料理は麻婆豆腐と肉じゃかと、スパゲッティ・アル・ブーロです」なぁんて言うと、たいていポカンとされるのですが。久しぶりに作ってみたくなり、トライしてみました。
レシピは、伊丹十三の名著『ヨーロッパ退屈日記』(新潮文庫)のP.110〜113に基づきます。この本が出た1965年3月当時、伊丹十三は31歳。映画監督になるずっと前です。伊丹のセンスと才気がほとばしる素晴らしいエッセイなので、興味ある方はご一読ください。
というわけで、『ヨーロッパ退屈日記』に記された内容とレシピに沿って、作ってみます。ブーロとはバターの意。伊丹曰く、蕎麦で言えば「もり」です。作り方はいたって簡単シンプル。
- 鍋にたっぷりの湯を沸かし、沸騰直前に塩をひとつかみ湯に入れ、スパゲッティの乾麺を茹でる。
- アルデンテに茹で上がったらザルに空け、水気をきる。スパゲッティを茹でた鍋にバターを一塊り(個人的には親指大くらい)入れ、茹でた麺を再び鍋に戻す。
- 麺をバターに絡めたら盛りつける。パルメジャーノチーズをおろして降りかけて出来上がり。
麺の茹で時間含め、所要時間10分ほど。伊丹レシピではパルメジャーノチーズを「一人大匙三杯くらいの気持ちでふりかけて食べるのが一番おいしい」そう。ぼくはパルメジャーノチーズを持ってないので、粉チーズたっぷりで代用しました。伊丹さんには叱られそうですが。
塩ラーメンやボンゴレビアンコなど、個人的に麺類は塩味で、素麺に近いものが好きなので、この「アル・ブーロ」はたまりません。いやぁ、ほんとうんまい。今回もよくできました。
ところで。アル・デンテという言葉を日本で最初に紹介した本は『ヨーロッパ退屈日記』だと思うのですが、どうなんでしょうか。