柳家喬太郎さんが忠臣蔵がらみの演目を2席。自らの思考(嗜好)を全開に、古典落語の名作「中村仲蔵」を換骨奪胎した『ウルトラ仲蔵』は奇想天外なようでしっかりした人情噺です。
ウルトラマンシリーズの先駆者に与えられた名代(なだい)とは? 見事なオチの付け方。
何度か聴いたことがあるのに「こんなにいい噺だったっけ」と失礼ながら気づかされました。
紀尾井町演芸館Vol.16 柳家喬太郎×林家二楽・八楽 年忘れスペシャル
一. 天野屋利兵衛 喬太郎
一. 紙切り 八楽
一. ウルトラ仲蔵 喬太郎
仲入り
一. 宴会 喬太郎・八楽
2025年12月20日 文藝春秋西館地下ホール
「トーク」ではなく「宴会」とネタ帳に記された通り、演者がお酒とおつまみを口にしながらトークするのが本会の趣向です(観客は見るだけ)。
今年9月に尿管がんで亡くなった林家二楽さんの名を冠したまま開催した主催者の粋なはからいに「文春砲だけじゃないんだね」と喬太郎さん流の誉め言葉を。
宴会は予め募集した質問に喬太郎さんと林家八楽さんが答える形でしたが、ビール2杯からの焼酎濃いめの水割りをグイグイ飲みながら進める喬太郎さんのトークはたびたび脱線。
八楽さんが大先輩の喬太郎さんを前に緊張しながらも、質問をトークの軌道に乗せていきます。
2025年12月27日までアーカイブ配信中につきネタバレはしませんが、トークの後半で二楽さんの思い出に触れて感極まった喬太郎さんには驚かされました。
喬太郎さんの高座で客に悪態をつく演出はおなじみながら、盟友と本人が語るくらい二楽さんに対する尽きせぬ思いがそうさせたのでしょう。
会場で観覧するたび、何かあるのがこの文春落語なんだよな。
喬太郎さんと二楽さん共演の回を思い出しながら、こちらもしんみりしちゃいました。

